神奈川県更生保護_第240号
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明けましておめでとうございます。皆様には、お健やかに新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年は、「第六回世界保護観察会議」において四月十七日を「国際更生保護ボランティアの日」とする宣言が採択され、また、更生保護制度が施行七十五周年を迎えるとともに、法務本省に置かれた「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」が報告書を取りまとめるなど、更生保護、保護司にとって大きな節目となる一年でした。しかし、五月には、滋賀県大津市で震撼するような事件が発生し、多くの関係者が心を痛めることにもなりました。このうち、「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」には、一昨年五月の立上げ以来、私も検討会メンバーとして参加しておりました。計十四回を数えた会議では、私の三十余年の保護司経験をもとに、そして、いつも県内各地の同僚保護司のお顔を思い浮かべながら、「変えるべきものは何か?」「変えてはならないものは何か?」と自問自答しつつ、地に足の着いた、未来志向の意見を述べてきたつもりです。そして、十月三日には、全国保護司連盟の谷垣禎一理事長の立会いの下、私ども検討会メンバーから法務大臣に報告書を手渡しました。報告書の内容は、既に多くの皆様にご覧いただいていると思いますが、広範多岐にわたる「今後講じていく施策等」としては、例えば、いわゆる公募の取組の試行、委嘱時上限年齢の撤廃、任期の見直し、デジタル技術を活用した負担軽減、保護司法制等の見直しの検討、安心して保護司活動を継続するための取組の強化、面接場所・面接方法の選択肢の拡充等が盛り込まれています。一方、報酬制の導入については大きな議論となりましたが、「保護司の無償性は、制度発足以来、利他の精神や人間愛に基づく地域社会における自発的な善意を象徴するものであり、なお堅持していくべき価値があることから、報酬制はなじまない」という結論に至り、代わって、保護司実費弁償金の充実が盛り込まれました。会議を通じては、毎回意見提出のたびに、私自身、これまでの保護司経験を振り返り、総括するという得がたい経験ができました。そして、最も大切と考えたのは、今後、どんな事態に直面しても、それが容易でないとしても、私ども保護司が皆、同じ気持ちで心を一つにして活動していくならば、必ずや次世代につながる人づくり、組織づくりができるということです。「私利私欲に走らず、もって国家社会のために尽くせよ」―故斎藤文夫先生が生涯守り抜かれた言葉です。この言葉を宝物として胸に刻み、ご遺志を継いで、本年を、皆様とご一緒に、世界に誇る更生保護制度が、百周年へ向け、新たな四半世紀を歩み出す年としたいと考えます。よろしくお願い申し上げます。神神奈奈川川県県保保護護司司会会連連合合会会会会長長第 240 号(1)第 240 号披露山公園(逗子市)栁栁川川義義信信神奈川県更生保護令和 7 年 1 月 1 日発行  新新年年ののごご挨挨拶拶

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